先日道南の長万部高校で、進路指導の時間に講演をしました。
高校1年生と、中学3年生を前に話したのは、「夢」についてです。 ふた昔前は、 「お金はないけど、夢だけはポケット一杯にあります」なんて……、物のない苦しい生活に潤いをもたらす存在でした。 一昔前は 「夢だけじゃあ食べていけない」「夢ばかり見て」と、現実逃避の材料、大人になる妨げのように言われてきました。 今の子ども達はどうでしょう。 夢がなくとも、物はあふれ、生活は満たされています。 夢を持つ持たないに関わらず、いい学校、いい会社と、ゆく方向は定められています。 今は、夢について考えてみたこともない、という子どもがとても多いのです。 夢は自然に心の中に生まれ膨らんでいくのが一番だと思います。 でも、今という時代では、夢は探さなくては見つかりません。 積極的に、自分の夢はなんなのか、頭と体を動かして見つけるのです。 私は夢をみつけ叶える手順を、長万部の中高生に伝えてきました。 1自分は何が好きなのか考える どんなことにワクワクし、時間を忘れ、夢中になるのか 2自分の好きなことで、お金がもらえる仕事があるか調べる 村上龍の「13歳のハローワーク」と働く大人が最良のテキスト 3その仕事に就くために、今なにをしなくてはならないか調べ、考える 成績や資格取得など、今始めなければおそきに失することも少なくない 子ども達は、やや呆気にとられた表情で、体験談も交えた私の話を、90分、静かに聞いていました。 多感な年頃の子ども達が、私の話から何を感じてくれたのか、帰りのJRでも、少し不安でした。 でも、数週間して、分厚い封筒で、全員からの感想文が届いたのです。 夢中で読みました。 子ども達は2つに大きく分かれていました。 一つは、自分は特に何が好きかわからないので、改めて考えている、という子達です。 もう一つは、好きなことははっきりわかっているが、それが仕事になるとは思っても見なかったという子ども達。 いずれも将来の夢を持っていなかった子ども達です。 私は、長万部で話をして良かったと思いました。 この子ども達がどんな職業につくかは、これからの努力です。しかし努力の方向を考える、きっかけをつかんでくれたのが、とてもうれしいのです。 前述の「13歳のハローワーク」には、厳しくもこんな事が書かれています。 「世の中には二種類の人間・大人しかいない。自分の好きな仕事、向いている仕事で生活の糧を得ている人と、そうではない人」 だれでも、前者でありたいのです。子ども達には、そのためにできる努力を、できるだけ早い内に始めて欲しいと思うのです。 もちろん幼い頃の夢が途中で変わることは大いに結構、成長の証でさえあります。 今の子ども達に、今すぐして欲しいことは二つ。 世の中に大きなアンテナを張って、色々なものを見たり、聞いたりする。 自分の心に、何が好き?と問いかける。 生涯にわたって、充実感や達成感と縁のある人生を、一人一人に送ってほしいと願っています。 長万部から届いた感想文は、私に達成感と充実感をもたらす、一生の宝物です。
by office_pallet
| 2004-12-30 21:52
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五十嵐いおり
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